第16回公演「From Under the Junk Metal 2nd ed.」 of 演劇レーベルBo-tanz舞台記録ページ

作 :はなださとし
演出:M & A

出演:高橋彰規、木村淳、花田智、原麻理子、羽鳥友子、
   深澤幸太、山口浩正、八尾光弘、川上琢史、
   鈴木サエ子、平山月子
   村山直子

照明:三田弘明(Light Staff)
舞台美術:D.G.工房
音楽:成井輝光
映像:千葉敬介
チラシイラスト:種滋比古
舞台写真:伊東和則

日程:2000年6月16日(金)〜20日(火)

会場:シアターグリーン

・・・不意に夢から覚める。最低の夢だ。棺桶に閉じ込められ、生きたまま埋められる夢。暗闇の中でわたしは一人小さな箱に閉じ込められている・・・

ざざざっ、ざざっ・・・ いくつものスコップでかけられる土が棺桶の蓋を鳴らす音。小さな箱の中、幾重にも反響して、そして大きなうねりとなってわたしを押さえつける。ざざざっ、ざざっ・・・ 四方八方から周期的に苛むように響きわたるそれは、まるで・・・

突き刺すような腐敗臭に鼻腔を塞がれ、わたしは幾度もむせ返る。きっと身体の皮か肉か骨かが腐り出してるんだ。そう、生きながらわたしはすでに腐り始めてる・・・

皮膚に張りつくかのような腐敗臭が小さな箱を満たしている。塩気を含んだ湿ったその臭いは、まるで・・・ まるで、なんだっけ・・・

跳ね返る土の音とむせ返る臭気とが支配する暗闇の中、わたしは悲鳴を上げながら棺桶の内張りを引っ掻き、そして蹴りまくる。 ・・・でも、喉が裂けるほど叫んでも、爪が割れ剥がれるまで引っ掻いても、足が痣だらけになるほど蹴りあげても、誰も答えてはくれない。ただ、わたしにかけられる土の音、わたしが腐りながらあげる臭い、そして一寸先も見えぬ闇があるだけ・・・

黒い夢・・・ ここに住む者は、みな「黒い夢」を見る。暗黒の中で永遠に落下する者、一条の光もない荒れ野をさまよい続ける者、黒い水面に顔を突っ込んで窒息する者、そしてわたしのように湿った闇に埋葬される者・・・

湿ったシーツの上で目覚めても、誰も安堵の息を漏らさない。みな分かってるんだ。この街自体が大きな棺桶だってこと。何処にも逃げ場はないってことを・・・

「黒い夢」は決して覚めることはない_この地下都市Junk Metal Cityにいる限りは・・・ 

・ from Under the Junk Metal (1988)
・ 老いたる時間_A true daughter of Old Time_ (1996, 1999)
・ STERILE_地下都市の発生学_ (1998)

そして・・・

   from Under the Junk Metal _the 2nd ed._ (2000)

これが地下都市の、そして人類の終焉・・・
10年の歳月を経てジャンクメタル・シリーズが完結する。

IM050026.jpg撮影:伊東和則IM060018.jpg撮影:伊東和則

チラシ表画像チラシ表
チラシ裏画像チラシ裏

IM170016.jpg撮影:伊東和則

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IM050018.jpg撮影:伊東和則IM060030.jpg撮影:伊東和則